bakunomiruyume

日々の好きなものを言葉に紡ぐ

思い立ったが吉日、映画『ジョーカー』観てきたので感想を。

なぜジョーカーが生まれたのか?

心優しいアーサーはなぜ〈悪のカリスマ〉ジョーカーとなったのか?

 

一見、感動のヒューマン映画のような(ヒューマン映画には違いないが)、あるいはホラー映画のようなCMが印象的でした。

恥ずかしながらこの夏に初めてダークナイトを見ました。なんなら他のシリーズはまだ見ていないので少しストーリーの世界観の解釈などの捉え方が違うかもしれません。ご容赦ください。大幅なネタバレは避けつつ感想を・・・。

 

 

 

『本当の悪は、人間の笑顔の中にある。』

オフィシャルサイトからの抜粋ですが、ここでいう悪とはジョーカーというよりも多くの一般人のことを指しているのでしょうか…?

善良なふりをして人を決めつけ判断する、カーストを作る、溜まったストレスをより弱者へと押し付ける。行き詰まった社会の抑圧が彼を作り出したんだろうなと。彼は悪というより(やっていることは一般的に善き行いではないけれど)壊れてしまった社会の被害者で、ある意味誰でもジョーカーになり得る可能性を秘めているのだと思いました。

善悪を判断するのは理性や道徳心や法律であって、俯瞰的に見たとき善とか悪とかの判断はどこにあるのだろう。アーサーは悪になったと言うより自己を解放した結果ジョーカーになったというのがぴったりと思える。そもそものきっかけは自身を傷つけるものに抵抗しただけなのだから当然の行動のようにも思えます。

 

自身の病気、なりたい自分と現実、母親も精神的な不安定を促進させる。そして明かされる過去。父との関係、母との関係、母が陥った状況、愛した人との関係…どんどんと追い詰められ、何が現実で何が妄想なのかもあやふやになっていく。わかったように全くなんの理解もないうえで最もらしいことをいう政治家。これらの要素が一つでもなければジョーカーは生まれなかったかもしれない。一体なんの罪があってこんな仕打ちを受けないといけないのだろう。アーサーの笑い声は始終泣いてるように聞こえた。どんどんと追い詰められ積もりに積もった結果、なんでしょうね。狂わずに生きている方が無理ではないかと思ってしまう。

ジョーカーを支持する市民たちも抑圧され不満を抱えた人たちであり、ジョーカーとしても自分の行いがこんなに人の心を動かしたのか、という事実はコメディアンを目指すものとしては感じることがあったのでしょうか…?

 

ぜひ映画館で見て欲しい

アーサーから徐々に変化していくジョーカーの演技は最高でした。配色や映り込む小道具も最高で、演出もコミカルとシリアスの切り替えが良かったです。(残虐なシーンは残虐ですが)

シリーズを知っていたらきっともっと面白いのだろうなと思います。でもこの映画だけでも十分世界に奥行きがあって楽しめました。

今自分を見失っている人、しんどい人には見て欲しい。

 

 

人間誰しも狂気隣り合わせなんだとうこと。

個人的には、統合失調症を取り扱った映画「ビューティフルマインド」、追い詰められていく狂気を描いた「ブラックスワン」、社会的弱者のありようを取り扱ったコミック「憂国のモリアーティ」などを思い出しました。おすすめです。

 

映画『ジョーカー』オフィシャルサイト